ファイル圧縮の定番「LHA」

ファイル圧縮の定番「LHA」

国産圧縮ソフトの草分け的存在

初期のパソコンが普及し始めた頃、データを保存する手段としてフロッピーディスクが広く使われていました。しかし、フロッピーディスクは容量が1.44MBと少なく、多くのデータを保存するには限界がありました。そこで登場したのが、ファイル圧縮ソフトです。ファイル圧縮ソフトは、データを小さくすることで、限られた容量でも多くのファイルを保存することを可能にしました。
数あるファイル圧縮ソフトの中でも、ひときわ人気を集めていたのが国産の圧縮ソフト「LHA」です。LHAは、その使いやすさと高い圧縮率で、多くのパソコンユーザーに愛用されました。当時、フロッピーディスクを手にする人の多くが、LHAの名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。LHAは、まさに国産圧縮ソフトの草分け的存在として、その後の圧縮ソフト開発に大きな影響を与えました。

開発者は吉崎栄泰氏

今回の開発者は、吉崎栄泰氏です。吉崎氏は、まだ京都大学の学生だった1988年に、ファイル圧縮ソフト「LHA」を開発し、無料で公開しました。
LHAは、それまでの圧縮ソフトと比べて、圧縮後のファイルサイズが小さく、処理速度も速かったため、瞬く間に多くの利用者に広まりました。当時のパソコン通信では、大きなデータをやり取りする際に、LHAを使って圧縮するのが常識と言えるほど普及しました。
吉崎氏の開発したLHAは、その後のデータ圧縮技術の発展に大きく貢献し、現代のインターネット社会においても、その影響は色濃く残っています。

対応OSの広さも魅力

– 対応OSの広さも魅力

LHAは、Windowsだけでなく、MacOSやUNIX系のオペレーティングシステムにも対応しています。つまり、パソコンの種類を問わず、多くの人がLHAを使えたということです。

異なる種類のパソコンを使っている人同士でファイルをやり取りする場合、ファイル形式の互換性が問題になることがあります。しかし、LHAで圧縮しておけば、そのような心配は必要ありませんでした。LHAは、異なるOS間でのファイル共有をスムーズにした、共通の言葉のような存在だったのです。

この幅広い対応OSが、LHAが長年に渡って多くの人々に支持されてきた理由の一つと言えるでしょう。

拡張子は「.lzh」

「.lzh」という拡張子は、LHAというソフトウェアで圧縮されたファイルであることを示しています。LHAは、かつてパソコン通信の時代から広く利用されてきた圧縮ソフトウェアです。

今日では、ZIP形式の圧縮ファイルが主流となっていますが、インターネット上では今でも「.lzh」の拡張子を目にすることがあります。これは、LHAが長年にわたって多くのユーザーに利用され、そのファイルが現在も様々な場所に保存されているためです。

「.lzh」は、LHAという歴史ある圧縮ソフトウェアによって作られた圧縮ファイルの証であり、かつての情報共有を支えた技術の片鱗を今に伝える存在と言えるでしょう。

時代を超えて愛されるLHA

最近は、LHAよりもファイルを小さくできる圧縮ソフトや、データを保護する機能を持った圧縮ソフトも出てきています。しかし、LHAは、ファイル圧縮の仕組みを理解するためには、まさにうってつけのソフトと言えるでしょう。なぜなら、LHAは、単純で分かりやすい仕組みでファイルを圧縮しているからです。そのため、圧縮ソフトの内部動作を学ぶには最適な教材となっています。
また、LHAは無料で使えるという点も大きな魅力です。高価な圧縮ソフトを購入しなくても、誰でも気軽にファイル圧縮の恩恵を受けることができます。
このように、LHAは、分かりやすさと手軽さという2つの大きな長所を持っています。このため、LHAは、これからも、多くの利用者に支持され続ける、ファイル圧縮ソフトの代表格であり続けるでしょう。