モバイル通信を支える技術: 符号分割多重接続
- 符号分割多重接続とは
符号分割多重接続(CDMA)は、携帯電話などの移動体通信システムにおいて、複数の利用者が同時に同じ周波数帯を使って通信できるようにする技術です。複数の利用者が同じ場所から同時に電波を送ろうとすると、電波同士が干渉してしまい、通信が途絶えてしまうことがあります。CDMAはこの問題を解決するために考案されました。
CDMAでは、各利用者に固有の「符号」と呼ばれるものが割り当てられます。この符号は、データを送信する際に、データを拡散させるために用いられます。それぞれの利用者が異なる符号を使ってデータを拡散させることで、受信側では、特定の符号を基にデータを選別することができるようになり、他の利用者のデータと混ざることなく、目的のデータだけを取り出すことが可能になります。
これは、図書館で多くの人が同時に話していても、特定の人に集中すればその人の声が聞こえるのと似ています。図書館の中で、多くの人が同時に話していても、特定の人の声だけに集中すれば、その人の声が聞こえますよね。CDMAもこれと同じように、多くの利用者が同時に電波を送信していても、特定の符号を基にデータを選別することで、目的の利用者とのみ通信を行うことができるのです。
CDMAは、第2世代(2G)および第3世代(3G)の携帯電話システムで広く採用され、高速データ通信や音声品質の向上に貢献しました。しかし、現在では、より高速な通信技術の登場により、CDMAは主流ではなくなりつつあります。