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電子出版の隠れた立役者 EPWING

「電子出版の先駆け」という言葉を聞くと、現代では電子書籍リーダーやオンライン書籍ストアを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、電子出版の歴史を遡ること30年以上、まだパソコン通信が主流だった1988年に、すでに電子出版の波は訪れていました。当時、富士通が中心となって制定したのが「EPWING」という電子出版の規格です。 EPWINGは、書籍や辞書といった紙媒体が主流だった時代に、情報を電子化し、パソコンで閲覧できるようにと開発されました。 CD-ROMの大容量化も追い風となり、百科事典や辞書、地図などがEPWING形式で発売され、一部のユーザーの間で人気を集めました。 電子出版の先駆けとして注目されたEPWINGでしたが、いくつかの課題もありました。当時のパソコンの性能では、画像や動画を扱うのが難しく、主に文字情報が中心だったことや、対応する閲覧ソフトが限られていたことが挙げられます。 その後、インターネットの普及や電子書籍リーダーの登場により、EPWINGは主流の座を譲ることになります。しかし、電子出版という新しい分野を切り開き、その後の発展に貢献したことは間違いありません。 今や当たり前になった電子書籍も、こうした先人たちの努力の上に成り立っていると言えるでしょう。