広く普及した規格:事実上の標準とは
世の中には、国や公的機関が定めたものではなく、民間の企業や団体が独自に作った規格や製品であっても、広く世の中に浸透しているものが数多く存在します。このようなものを「事実上の標準」または「デファクトスタンダード」と呼びます。では、なぜこのような「事実上の標準」が生まれるのでしょうか。
その理由は、市場における競争や技術の進歩、そして私たち消費者の選択が複雑に絡み合っているためです。
例えば、初期のパソコン市場を考えてみましょう。当時は、様々なメーカーが独自規格のパソコンを販売していました。しかし、その中で特定の会社が開発した基本ソフトが、使いやすさや性能の高さ、そして価格の安さなどから、多くの利用者に支持されるようになりました。
その結果、この基本ソフトを搭載したパソコンが市場で爆発的に普及し、他のメーカーも互換性を保つために、同じ基本ソフトを採用せざるを得ない状況になりました。
このように、市場競争の中で、消費者に支持された製品や規格が、結果として「事実上の標準」として広がっていくケースは少なくありません。