専門家の知能をコンピュータで再現する技術:エキスパートシステム
- エキスパートシステムとは
エキスパートシステムは、特定の専門分野を持つ人の知識や経験をコンピュータに覚え込ませ、その分野の専門家のように考えたり判断したりできるようにしたシステムです。これは人工知能(AI)の一種であり、1970年代から研究開発が進められてきました。
エキスパートシステムの目的は、人間が普段行っている問題解決の手順をコンピュータに模倣させることで、複雑な問題に対しても迅速かつ適切な解決策を提示することです。 例えば、医療分野では、患者の症状や検査データを入力すると、考えられる病名を診断したり、適切な治療法を提案したりすることができます。
エキスパートシステムは、専門家の知識を「ルール」と呼ばれる形式で表現し、推論エンジンと呼ばれるプログラムによって、入力データとルールを照合して結論を導き出します。ルールは「もし~ならば~」のような形式で記述され、専門家の経験に基づいた知識を表現します。
エキスパートシステムは、医療診断、金融取引、機械設計など、様々な分野で応用されています。しかし、専門家の知識をルールとして表現することの難しさや、状況の変化に対応してルールを更新していくことの難しさなど、いくつかの課題も抱えています。