シリアルATA:高速データ転送の立役者
- シリアルATA誕生の背景
パソコン内部では、ハードディスクやSSDといった記憶装置とマザーボードの間で、絶えず膨大なデータがやり取りされています。こうしたデータのやり取りをスムーズに行うために、かつてはパラレルATA(Parallel ATA、PATAとも呼ばれます)という規格が広く採用されていました。
パラレルATAは、複数のデータを同時に転送できる「パラレル転送」方式を採用しており、当時の技術としては高速なデータ転送を実現していました。しかし、技術の進歩とともに、パソコンの処理速度や記憶容量は飛躍的に向上し、パラレルATAは次第に限界を迎えるようになりました。
パラレルATAは、複数の信号線を並行して用いるため、信号間の干渉やノイズの影響を受けやすく、高速化が難しいという課題がありました。また、ケーブルが平たく幅広いため、パソコン内部のエアフローを阻害し、冷却効率を低下させるという問題もありました。
こうした背景から、より高速で信頼性が高く、そして扱いやすい新しいインターフェース規格として、シリアルATA(Serial ATA、SATA)が誕生したのです。シリアルATAは、データを1本の信号線で順番に転送する「シリアル転送」方式を採用することで、高速化とノイズ耐性の向上を実現しました。また、ケーブルも細く柔軟になり、パソコン内部のスペース効率や冷却効率の改善にも貢献しました。